仕事を頼まれた瞬間、頭では「今は無理かも」と分かっているのに、つい「大丈夫です」と言ってしまう。
そしてあとから予定が崩れて、帰り道にひとり反省会——そんな経験はありませんか。
このページでは、“断るかどうか”の前に整理しておく順番(会話の設計)と、状況別の返し方をまとめます。
例文だけで押し切らず、相手に押されたときの「二手目」まで用意します。
想定シーン
「これ、今日中にお願いできる?」
声をかけられた瞬間、あなたの手元には締切が近いタスクが山積み。
断ったら嫌な顔をされそう。
期待に応えたい気持ちもある。
でも引き受けたら、今の仕事が崩れる——。
陥りやすいパターン
- 反射で「できます」と返してしまう
- 「全部やらなきゃ」と抱え込んで、整理が追いつかない
- 期限や範囲を決めないまま曖昧に引き受けてしまう
どれも“性格の弱さ”というより、その場で判断材料が揃っていないだけ、ということも多いです。
言いにくさの背景
断れないとき、心の中ではこんな心配が先に立つことがあります。
- 断ったら「協力しない人」だと思われそう
- 相手の手を止めるのが申し訳ない
- 期待に応えられない自分が怖い
- 断る=関係が悪くなる、というイメージが強い
だからこそ、目標は断ることではなく、無理のない形に組み直すことに置くほうがラクになります。
まずこの順番で考える:3ステップ
ステップ1:期限
「今日中は無理/明日午後なら着手できる」など、時間の見通しを言葉にします。
ステップ2:代替案
「一部だけ」「先にこれだけ」「別の人が早いかも」など、相手の目的に近い形を出します。
ステップ3:関係維持の一言
「手伝いたい気持ちはあります」「優先度を揃えたいです」など、協力姿勢を残します。
状況の分岐
- 今日は本当に無理(期限を出す/後ろ倒し)
- 全部は無理だが一部なら可能(範囲を切る)
- 優先度が分からない(判断を仰ぐ)
- その場で答えるのが怖い(保留して戻る)
- 品質が落ちそう(成果を守る相談にする)
返し方7選
ここからは「どれを選ぶか」で迷わないように、状況別に並べます。
「断る」より先に、仕事の期限や範囲を“無理のない形”に整える返し方です。
期限を出す(見通しで整える)
「今のタスクが立て込んでいて、今日は難しそうです。◯日以降なら着手できます。」
ポイント:拒否ではなく、“見通しの共有”として伝えられます。
押されたら:
- 「今日が必須なら、今の作業の提出が遅れます。どちらを優先しますか?」
優先度を揃える(判断を相手に戻す)
相手「これ、今日中にお願いできる?」
自分「今ある作業と重なっていて判断が難しいので、優先度だけ確認してもいいですか?」
相手「どっちも大事」
自分「了解です。もしこれを最優先にするなら、今のAを後ろにします。それで問題ないですか?」
範囲を切る(全部じゃなく“一部だけ”で出す)
「全部は難しいのですが、◯◯の部分だけなら手伝えます。」
ポイント:協力の姿勢を残しつつ、負荷をコントロールできます。
押されたら:
- 「全部やると今日中に仕上がらないので、いちばん急ぎの部分だけ先にやりませんか?」
後ろ倒しを提案する(交渉にする)
相手「今日中にお願い!」
自分「今日は手がいっぱいで…。明日の午後なら着手できます。納期的に大丈夫そうですか?」
相手「今日じゃないと困る」
自分「今日に寄せるなら、代わりに今の作業をどれか止める必要があります。どれを止めますか?」
品質を守る相談にする(二択で出す)
「急ぐなら最低限の形になります。“最低限でOK”ですか?」
「それとも、期限か範囲を調整しますか?」
適任者を提案する(相手の目的に近いルートを出す)
「私だと着手が遅くなりそうで…。その件は◯◯さんのほうが早いかもしれません。」
ポイント:相手の目的(早く終わる)に近いルートを提示できます。
押されたら:
- 「私が受けるなら◯日からになります。急ぎなら◯◯さん、急ぎでなければ私。どちらがいいですか?」
即答を避けて戻る(反射を止めるチェックリスト)
□ まず言う
「一度、手元のタスクを整理してからお返事してもいいですか?◯分後に戻ります。」
□ 戻る前に30秒チェック
- 期限:今日か/いつからなら可能か
- 範囲:全部か/一部なら可能か
- 代替案:順番変更/人に振る/後ろ倒し
□ 押されたら
「今すぐ決めると見通し違いが出そうなので、確認して正確に返したいです。◯分ください。」
摩擦を減らす小ワザ
- まずは「無理です」より、“整理→確認→提案”の順にすると通りやすい
- 罪悪感が強いときほど、言葉を飾りすぎて長くなりがち。短くてOK
- どうしても言いづらい日は、まずこれだけでも大丈夫:
「今は厳しいです。確認して戻ります。」
関連:頼む側になったときの言い方も用意しておく
断るのが苦手な人ほど、逆に「お願いする側」も苦手になりがちです。
もし「後輩に頼みたいのに申し訳なくて言えない」タイプなら、こちらも参考になります。
明日からの小さな一歩
- 7つの中から「これなら言えそう」な一文を、メモに1つだけ残す
- 反射でOKしそうな場面では、まず「◯分後に戻ります」を使う
- 余裕がある日に一度だけ「優先度確認」を試してみる
以前は、頼まれた瞬間に頷いてしまって、あとから自分が苦しくなることがありました。
今は「いったん整理して戻る」を挟むだけで、返事がずいぶんラクになりました。
